学校薬剤師

こんにちは。
病態生理・薬物治療担当の川上(絢)です。
先日、京都府学校薬剤師会が主催する
「学校薬剤師業務 集合研修」
に助手として、しゃちょうと京都府薬剤師会館にお邪魔いたしました。
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京都人、そして薬剤師である私ですが、東大路五条上がるにこんな立派な建物があったとは…。
知りませんでした。

「学校保健安全法(学校保健法から2009年4月改正) 第16条」には、

児童生徒の健康や健康的な学校環境の維持のために、
すべての学校に学校医を、または大学以外の学校に学校歯科医および
学校薬剤師を置く


ことが規定されています。
学校医や学校歯科医師は、それぞれ内科検診や歯科検診などで見かけますが、
学校薬剤師というのはあまりお目にかかりません。
しかし、このお目にかからない学校薬剤師、
実は学校医や学校歯科医師よりもっと重要な役割を担っているのです。
数ある学校薬剤師の業務の中で、重要なのは
学校衛生の確保
特に、健康に直結する水の管理は最重要ミッションです。

多くの小学校は、学校内に貯水タンクを持っており、
歴史ある学校では1,000人規模の貯水タンクを使用しています。
しかしながら、現在の日本は少子化が進み、
この1,000人規模の貯水タンクを300人で使用しています。
この貯水タンクは、ある程度水が消費されると新鮮な水道水が供給される仕組みになっています。
すると、1,000人分の水をたった300人で使用するわけですから、
当然貯水タンク内の水がなかなか入れ替わらないのです。
最も恐ろしいのは…

夏休み


児童がいなくなった学校の水は極端に使用量が減少します。
すると貯水タンクの水はそのまま…
夏場ですと気温が高いので残留塩素もすぐに無くなってしまいます。
そこは細菌達の温床となるのです!

そこで学校薬剤師の出番です!
水質検査を徹底し、残留塩素濃度を測定します。
もし、残留塩素が規定に達していなければ即、助言します。
もちろん、細菌が検出された場合も同様です。
京都府学校薬剤師会館には(私も初めて知りましたが)、
かなり設備の整ったラボがあります。
(原子吸光もありましたね。)
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そこで、水質検査の実習です。
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もちろん、薬剤師全員が学校薬剤師になるわけではありませんが、
薬剤師免許を持っていれば、学校薬剤師を拝命する可能性があるわけです。
その日のために水質検査については熟知しておかねばなりません。
こちらが、国家試験(衛生薬学)にも出題されるDPD(エチル-p-フェニレンアミン)法!
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DPD法と言えば残留塩素の測定
が即答できるようにしておきましょう。
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測定は至って簡単、DPD試薬を試験管に入れ、そこに検体を規定量入れて混ぜるだけです。
色の変化によって残留塩素の存在を確認できます。

実際に学校薬剤師会に毎年何件かは
「プールの水が1日で真っ青になりました!どうしましょう…」
などといった水に関する相談が舞い込んでくるのだそうです。
ちなみにプールの水が真っ青になるのは藻が一気に増殖したからです。
遊離残留塩素が減少するとこのような大惨事を招きます。
この相談を持ちかけた学校の先生方はたいそう驚かれたことでしょうね。

さて、この水の管理以外にも空気、温度、照度、ダニなどについても厳しい監視を行っているのが学校薬剤師です。
ラボから講堂へ向かうと、発見!
アスマン通風湿度計
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国家試験(衛生薬学)の問題でしか見たことがなかった、あの幻の
アスマン通風湿度計!
そして
黒球温度計!です。
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ホンモノをここで拝見できるとは…。
国家試験を受験して約10年が経過しました…。
アスマン通風湿度計や黒球温度計はここで活躍していたのですね。
(はずかしながら、初めて知りました。)
アスマン通風湿度計との出会いに感動した私は、
一切動きの無いアスマン通風湿度計をビデオ(動画)に収める
という良くわからない暴挙に出たのでした。
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自分のとった行動ながら、今から考えてもどうしてそのような事をしてしまったのか、
全くわかりません。
(しかもビデオを撮っている私、ちょっと楽しそうです。意味不明です。)


さて、会場でひときわ強いオーラを放っていらっしゃるのが
京都府学校薬剤師会会長
守谷まさ子先生

です。
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守谷先生から直々にアスマン通風湿度計についての説明を受けるしゃっちょう。
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アスマン通風湿度計は薬剤師国家試験にも出題されています。
アスマン通風湿度計は2本の温度計が平行にならんでいます。
片一方が湿球、もう片一方が乾球です。
湿球の先端部は脱脂綿で覆われており、ここを水で濡らして使用します。
また、温度計の上部にはファン(小さな扇風機)が付いており、
これを回して風を送りながら温度を測定します。
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この2つの示度から相対湿度を下の表から求めることができます。
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96回国家試験を受験される皆さん、
アスマン通風湿度計によりわかるのは気温と気湿(相対湿度)です。
これも即答できるようにしておきましょう。


よく見ると、足下にもアスマン通風湿度計があるではありませんか!
これについて、質問すると、
床から100cmのあたりと、足下の両方を測定する方が望ましいのだそうです。
数十cmの差でも大きく温度が異なることがあります。
たしかに、冬場は足下はとても冷えますものね。
冬場は10℃以上の差が認められることもめずらしくありません。
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そしてこちらの足下に置かれたアスマン通風湿度計、
守谷会長のMy アスマン(価格65,000円)だそうです。
さすがは会長!
気合いが違います!



黒板の前に群がる集団、こちらは照度測定です。
黒板の9箇所について照度を測定・記録し、報告書を作成します。
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照度を正確に測定するために、最も気をつけなければならないのは、
自分の影です。
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このような測定の仕方では自分の体の影により照度が低く測定されてしまいます。
正しい測定法はこちら!
自らの影に細心の注意をはらいながらセンサーを黒板に当てます。
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低い位置も同様に腰を落として測定します。
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ベテラン先生の指導により、実習生の皆さんも再度正しく測定!
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照度の測定は可能な限り、雨の日や曇りの日に行うことが望ましいです。
(晴れた日ですと照度が高いのは当たり前ですから。)
また、夜間授業をおこなっている学校では、夜間の照度測定もかならず行います。


最後はダニです。
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ダニのチェックには掃除機で吸い取ってそこに存在するダニを検出するもの、
スティックタイプで簡単に測定できるものなどさまざまな種類があります。
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掃除機の先端に取り付けるタイプでは、絨毯や床(畳半畳ほど)に十分に掃除機をかけます。
そして、吸引したものを袋に入れ、試薬を入れて十分に揉み出して測定します。






折角ですので、衛生薬学担当小倉講師に実際に使っていただきました。
(なんと、小倉講師の部屋には掃除機がありません。
再三購入するようすすめていますが、彼は聞き入れてくれません。)

こちらが「ダニスキャン」です。
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アルミのパッケージを開封すると、こちらのスティックが入っています。
(ダニのイラストがリアルです。)
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このスティックでダニがいそうなところ(今回の場合小倉講師の寝具)をこすります。
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なんだかとってもきたなそうです。
不衛生薬学ですね。
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そこに試薬を滴下!
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待つこと数分で結果が出ます。
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判定4!
非常に汚染されているらしいので、
可及的速やかに掃除機を購入して下さい。
クイックルワイパーだけでは不十分なのですよ!
小倉さん!

ときどきは寝具にも掃除機をかけた方がよいです。





そういえば…小倉講師のお家に泊まりに行った方がいましたね。
(高校時代「ケロリン音楽隊」という恥ずかしい名前のバンドを組んでいたあの人。)
ダニは大丈夫だったのでしょうか?
詳細はこちら
    ↓
小倉家お泊まり日記



監修:衛生薬学担当 藤田理恵
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by Medisere | 2010-10-25 19:28


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